はじめに 細胞外被はすべての植物がもち,細胞を防御するだけで なく,細胞の形を決める重要な構造である.細胞外被は進 化の過程で様々に多様化し,その構造と機能が複雑化した. 一般に植物細胞は,細胞外被として原形質膜の外側に「細 胞壁」を形成する.この場合,細胞の形は細胞壁が規定し, 細胞壁がどのように成長するかによって細胞の形が決まる. 一方藻類では,細胞壁とは異なる種類の細胞外被をもつ系 統群が存在し,渦鞭毛藻類はその1つである.渦鞭毛藻類 の遊走細胞は原形質膜の内側にアンフィエスマ(amphiesma) と呼ばれる細胞外被を形成する(Loeblich 1970). 渦鞭毛藻類の典型的な遊走細胞の形態(図1A)は,細胞 を一周する横溝を境にして上側の上錐(または上殻),下側 の下錐(または下殻)からなる.さらに横溝とほぼ直角に 交わる縦溝が存在し,それぞれの溝が交わる部分から,二 本の鞭毛が出ており,それぞれ横溝と縦溝に沿って位置し ている(図1A, 矢印).このような共通する特徴をもってい るにもかかわらず,渦鞭毛藻類の形態は非常に奇妙で多 電子顕微鏡で観る渦鞭毛藻類の細胞外被の形成過程
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Sekida, S., Horiguchi, T., & Okuda, K. (2019). The development of cell coverings in armored dinoflagellates by electron microscopy. PLANT MORPHOLOGY, 31(1), 11–18. https://doi.org/10.5685/plmorphol.31.11
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