Abstract
キーワード ゲノム配列解析,次世代型シーケンサー,第 3 世代 はじめに ゲノムもしくはトランスクリプトの短い配列を大規模 に取得する配列解析技術は次世代型シーケンシング (Next Generation Sequencing, NGS) ,または「第 2 世代」シーケ ンシングとしてゲノム解析に大きな変革をもたらした. 一方,比較的長い分子の配列を解析する技術は「第 3 世 代」シーケンシングとして数年前から登場していたが, データ量に対して解析価格が高額であるなどの理由から 植物研究では利用が限られていた.しかし,最近 1 年の 間に第 3 世代の解析機器が急速に普及し,より身近な解 析が可能となっている.そこで本ワークショップでは第 3 世代の解析機器を中心に最新のゲノム解析技術につい て話題提供者に紹介してもらい,新たな育種学研究の可 能性について議論を行った. 演題 1 ショートリードか,ロングリードか 白澤健太(かずさ DNA 研究所・先端研究部) 最近数年の間にゲノム解読の報告がされた植物種の数 は急激に増加している(Michael and VanBuren 2015) .全 ゲノム解読の当初は比較的解析がしやすいゲノムサイズ の小さい種が対象であったが,最近は 1 Gb 以上のゲノム サイズの種でも解析が実施されている.これらの解析は 2000 年代の後半から登場した「次世代型シーケンサー (NGS) 」の登場によってもたらされた. 「次世代型シーケ ンサー」は登場の初期から用いられてきた言葉であるが, 2017 年 1 月 5 日受領 Correspondence: sisobe@kazusa.or.jp 技術の進歩が著しいことから初期の機種の多くはすでに 廃番となっており,今では「旧世代シーケンサー」とよ んでもおかしくない.現在の NGS は依然ショートリード でデータを大規模に産出する機器が主流であるが,デー タ単価が NGS 登場の頃から低下し続けており,ゲノム解 析研究の実施スケールが「零細化」している.すなわち 対象とするサンプルが科,属,種など所属する分類を代 表とするものから個体,細胞レベルへと移行し,かつ解 析プロジェクトのレベルも国際プロジェクトから個人型 研究へと変化している.このように,研究環境は大きく 変化したが,最近までデータの質に大きな変動はなかっ た.そのため,例えばアセンブルされた全ゲノム配列の N50 長は 2014 年ごろまで大きな変化がなかった.また ショートリードではヘテロ個体の相がきまらない (Phasing ができない) ,あるいは高次倍数性種のサブゲノムの区別 ができない, といった問題を克服することができなかった. 一方,ショートリードを生成する第 2 世代に対して, 第 3 世代(もしくは第 n(n≧3)世代)とよばれるシー ケンス技術はロングリードにより第 2 世代が超えられな かった問題を克服できる技術として期待されている.第 3 世代中で最も普及しているのが PacficBio 社の PacBio であり,平均リード長 10 kb のシーケンスデータを得る ことができる.この PacBio(RSII)に BioNano 社が開発 した Irys(DNA 上の特定の配列に蛍光標識をしてスキャ ナーで蛍光を読み取る)によるデータを組み合わせるこ とで,Oropetium thomaeum では N50 = 7.1 Mb の全ゲノム アセンブル配列を得た(Michael and VanBuren 2015) .こ れはサンガー法を用いた全ゲノムアセンブル配列の N50 に匹敵する.さらに PacBio(RSII)と Irys を用いること 育種学研究 19: 30-34 (2017)
Cite
CITATION STYLE
Isobe, S., Koyanagi, R., & Osaki, K. (2017). When the 3rd generation sequencing technologies go marching in. Breeding Research, 19(1), 30–34. https://doi.org/10.1270/jsbbr.19.30
Register to see more suggestions
Mendeley helps you to discover research relevant for your work.