Abstract
Keywords: long period stacking ordered structure, magnesium alloy, high strength, heat resistance, flame resistance, kinking, king band strengthening 2014年12月 9 日受理[doi:10.2320/materia.54.44] ミ ニ 特 集 LPSO 型マグネシウム合金の特徴と 今後の展望 河 村 能 人 . は じ め に アルミニウム合金の GP ゾーン析出強化機構やニッケル基 超耐熱合金の g g′ 整合析出強化機構が見出されたことによ って,科学技術や産業が大きく進展してきたことは歴史が証 明している.21世紀に入り,新しい高強度マグネシウム合 金が日本で開発され,軽量構造材料分野にイノベーションを も た ら す も の と し て 基 礎 と 応 用 の 両 面 で 注 目 さ れ て い る (1) (10) .開発された合金は,長周期積層構造(LPSO 構造) という新奇な原子配列構造を持つ相(LPSO 相)を強化相にし ていることから,LPSO 型マグネシウム合金と呼ばれている. LPSO 型マグネシウム合金が注目される理由は,◯ 軽量・高 強度・高耐熱性・難燃性が同時に達成されているということ, ◯ 優れた材料特性が大型化しても再現できることが実証され たことによって社会実装化の可能性が高くなったということ, ◯ LPSO 相が濃度変調と積層構造変調が同期した新奇な「シ ン ク ロ型 LPSO 構 造 」を 持 つと い うこ と ,◯ LPSO 相 が 「キンク帯強化」という新しい概念の材料強化機構で強化さ れているということである.現在,LPSO 型マグネシウム合 金の社会実装化を目指して,大型素材製造技術と応用製品の 開発が進められており,さらに,LPSO 構造の学理構築を目 指したオールジャパンの基礎研究が実施されている (9)(10) . 本稿では,LPSO 型マグネシウム合金の開発経緯と特徴なら びに今後の展望について述べる. . LPSO 型マグネシウム合金の開発経緯 文部科学省の科学研究費補助金・特定領域研究「高性能マ グネシウムの新展開」が1999年から 4 年間実施され (6) , 「高 強度非平衡マグネシウム合金の創製」というテーマで,高強 度と高延性を併せ持つ急速凝固粉末冶金合金の開発が試みら れた.基本的な 2 元系合金から急速凝固プロセスに適した 合金成分の探査が行われた結果,2001年には,高圧ガスア トマイズ法で作製した急速凝固粉末を押出し固化成形するこ とによって,610 MPa の引張降伏強さと 5の伸びを示す Mg 97 Zn 1 Y 2 (at)合金が開発された (1) .その後,この合金が 構造変調と濃度変調が同期した新規な LPSO 構造を持つこ とが明らかにされ (11) ,この構造は「シンクロ型 LPSO 構造」 と呼ばれるようになった (12) .また,シンクロ型 LPSO 構造 には多形が存在することが明らかにされた (12) . 比較実験として鋳造材の押出し加工や鋳造材の切削チップ の押出し固化成形が試みられた結果,鋳造材でも LPSO 相 が形成されることや,鋳造押出し材や切削チップ押出し固化 成形材でも優れた機械的特性が得られることが明らかにされ た (2)(3) .また,鋳造押出し材の組織観察によって LPSO 相 がキンク変形していることが見出され, 「キンク帯強化」の 最初の知見が得られた (4) . さらに,Mg M RE(M金属元素,RE希土類元素)系 合金の鋳造押出し材を対象にした合金探査が系統的に実施さ れ , LPSO 相 を 形 成 す る 合 金 系 が 数 多 く 見 出 さ れ た (3)(5)(13) .特に,鋳造したままで押出加工する方法と鋳造 材を 773 K で均質化処理した後で押出し加工する方法の両 方で合金探査が行われた結果,LPSO 相が凝固時に晶出する 合金系の他に,熱処理によって LPSO 相が固体状態から析 出する合金系が見出されるとともに (4)(14) ,熱処理によって LPSO 構造の積層周期が変化することが明らかにされた (4) . その後,510 MPa の降伏強さと 8の伸びを示す Mg Ni Y 系鋳造押出し合金 (7) ,優れた機械特性を保持しながら市 販合金(AZ31)並みまで耐食性を高めた Mg Zn Y Al La 系 鋳造押出し合金 (15) ,超々ジュラルミンを凌駕する機械的特 性と耐食性を有する Mg Zn Y Al 系急速凝固粉末冶金合金 などが開発された (5) .2012年には,LPSO 型マグネシウム 合金が高い発火温度を有し,米連邦航空局(FAA)が策定中 のマグネシウム燃焼試験 (16) に合格したことが報告された (9) .
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Kawamura, Y. (2015). Material Characteristics and Future Perspective on LPSO-type Magnesium Alloys. Materia Japan, 54(2), 44–49. https://doi.org/10.2320/materia.54.44
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