Abstract
§1. は じ め に 地震波干渉法 (Seismic Interferometry) とは,2 観測 点における波動場の相互相関関数から,その 2 点のうち 1 点を震源とし,もう 1 点を観測点とするグリーン関数 (インパルス応答)を求める手法である.地震波干渉法 の問題設定の概念図を Fig. 1 に示す.複数の信号源か ら放射された互いに無相関な波が 2 観測点に入射するも のとし,その 2 観測点での波動場の相互相関関数を計算 する(左図) .一方,右図は 2 観測点のうちの 1 つに仮想 震源があり,もう 1 つの観測点でグリーン関数が得られ る場合である.グリーン関数の相反性を用いると観測点 と震源を入れ替えてもよいので,どちらの観測点が仮想 震源であってもよい(右上図と右下図) .地震波干渉法 を用いると,左図の状況から右図の状況を仮想的に再現 できるというわけである.もし,自然地震,脈動,常時 微動の波動場に対してもこの考えが成り立つのであれ ば,人工震源を必要とせずにグリーン関数が求められる ことになり,地震波干渉法は安価かつ環境への影響も小 さいパッシブな地下構造探査法となりうるということ で,広く注目を集めてきた. この手法が地震学の分野に導入されてからすでに 10 年が経過した [Campillo and Paul (2003)].その間,理論 的背景に関する理解が深められるとともに,データ解析 に基づく実用的な研究も進められ,最近では脈動や散乱 波(コーダ波)などを用いた地震波(ほとんどが表面波) トモグラフィーや地震波速度の時間変化の検出など様々 な応用が世界各地で活発に進められている.地震波干渉 法に関する解説論文もすでにいくつも出版されている. 例えば簡潔な導入としては Curtis et al. (2006) があり, 総括的なものでは,Larose et al. (2006),Wapenaar et al. (2010a, b),Snieder and Larose (2013) などがある.また 物理探査の分野では和文の解説記事[松岡・白石 (2008), 白石・他 (2008)]もある.さらに本格的なものとしては, 物理探査分野の教科書 [Schuster (2009)] や Geophysics の 2006 年 9 月 号 の 論 文 集[例 え ば,Wapenaar et al. (2006)] ,主に地震学分野の論文を集めた Comptes Rendus Geoscience の 2011 年 8-9 月号[例えば,Campillo et al. (2011)]も参考になる. 本記事では,既往の解説記事が書かれた以降のこの分 野の進展も踏まえて,地震学的な研究に重きをおき,地 震波干渉法の要点を簡潔に解説したい.そしてより専門 的な論文への入り口となることを目指して,本文中に重 要と考えられる参考文献を明記しているので,それぞれ の項目についての詳しい説明はそちらを参照していただ きたい.なお編集の都合上,内容を (1) 歴史的経緯と原 理,(2) 応用の 2 回に分けることにし,本稿では (1) につ いて説明する.(2) については稿を改めて解説する. §2. 歴史的発展の経緯 地震波干渉法の発展の経緯であるが,その端緒を調べ
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NAKAHARA, H. (2015). Seismic Interferometry (1) Historical Development and Principles. Zisin (Journal of the Seismological Society of Japan. 2nd Ser.), 68(4), 75–82. https://doi.org/10.4294/zisin.68.75
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