Proposal of Mobile Type Remote-captioning System for Deaf or Hard of HearingPeople and Evaluation by Captionists

Abstract

聴覚障害学生に対する情報保障手段として、最近ではパソコンを用いたパソコンノートテイク(パソコン要約筆記を含む)が広がりをみせている。特に2名の情報保障者がパソコンを用いて連携しながら教員の発語内容を文字化する連携入力という手法があり、IPtalkというソフトウエアがある。そこで今回、著者らはApple社製iPhone 3G/3GSを用いてモバイル環境で利用可能な情報保障システムである「モバイル型遠隔情報保障システム」を構築した。本システムを用いて情報保障者17名を被験者として様々な環境下での情報保障の実験を行い、情報保障者を対象としたアンケート調査を行った結果、年齢や利用環境の異なる聴覚障害者の情報保障を通して、情報保障者が聴覚障害者にとって利点が大きいと感じる環境条件は屋内外を問わず移動を伴う状況下であり、また初等中等教育の場での心理的な配慮が高かった。以上より、既存の手法では困難であった移動を伴う情報保障に対する可能性が高く評価され、また初等中等教育の場での心理的配慮に対する高い必要性も明らかとなった。尚、実際の運用上で問題となるコストは、本システムでは各種通信を定額制サービスの利用によって比較的安価に実現でき、継続的な運用が容易と考えられた。