Abstract
1 .はじめに 無電解めっきとは「外部電流の代わりに還元剤を用いて自 己触媒性のある金属皮膜を析出させる方法」で,①複雑な形 状でも均一な厚さに析出可能,②電源等の設備が不要,③不 導体上にもめっき可能,④様々な合金皮膜やアモルファス皮 膜の形成が比較的容易,等の特長がある。 その中でも無電解ニッケルめっきは従来から多くの開発, 改良が報告されており,①析出皮膜の優れた特性,②ニッケ ル自体の強い自己触媒性,③析出速度が速い,④浴管理が比 較的容易,等 から他の無電解めっき浴に比べメリットが多い。 また,無電解ニッケルめっき浴の組成やめっき条件の選択に よって要求に応じためっき皮膜を形成し,不導体表面の導体 化や,化学的特性 (耐食性・耐薬品性・耐変色性・拡散防止 など) ,機械的特性 (硬さ,柔軟性,耐摩耗性など) ,電磁気 特性 (導電率,接触抵抗,高周波特性,磁性,電磁波遮断性 など) ,光学的特性 (光選択吸収性,光反射性など) ,熱的特 性 (はんだ付け性, 耐熱性など) が得られるため, 実際の産業分 野においても基幹技術として確固たる地位を築いている 。 無電解ニッケルめっきは,還元剤の種類により,Ni-P(次 亜リン酸塩) めっき,Ni-B(ホウ素化合物) めっき,純ニッケ ル (ヒドラジン) めっきに大きく分類されるが,一般には無電 解ニッケルといえば無電解 NiP めっきをさすことが多い。 また,上記の各種物性は皮膜中のリン含有率の影響が非常に 大きく,要求される皮膜物性に応じて最適なリン含有率を選 択することが重要である。 本稿では,まず,無電解 NiP めっきを電気ニッケルめっ きや無電解 NiB めっきなどと比較してそれぞれの特徴を比 較する一方, 無電解 NiP めっき皮膜中のリン含有率に注目し, 各種物性面への影響について概説する。さらに,無電解 NiP めっき皮膜のリン含有率別応用例を紹介する。 2 .無電解 NiP めっき 2.1 電気ニッケルとの比較 表 1 に示すように,無電解ニッケルめっき皮膜の特性は, 電気ニッケルめっき皮膜と大きく異なっている (本表ではヒ ドラジン浴は含まない) 。コスト面では劣る無電解 NiP めっ きが工業的に広く普及したのは,従来の電気ニッケルめっき では得られないユニークな皮膜が得られるためである。 2.2 無電解 NiB めっきとの使い分け 無電解ニッケルめっきの還元剤には,上述のように次亜リ ン酸塩,ホウ素化合物,ヒドラジンが用いられる。ヒドラジ ン浴は純ニッケルの皮膜が得られるが,その強い毒性および 浴管理や作業面での困難さから,広く使用されるには至って いない。ただし,皮膜構造などが非常に特徴的であり,継続 的に研究報告がされている , 。 無電解ニッケルめっき皮膜の特性 黒坂 成吾 a ,佐藤 誠 a a 無電解 Ni 電気 Ni 組 成 Ni = 87 ~ 99 wt.% (P または B との合金) Ni = 99.9 ~ 99.5 wt.% 組 織 微結晶~非晶質 微結晶質 比抵抗 5 ~ 200 μ Ω-cm 8.5 μ Ω-cm 程度 密 度 7.6 ~ 8.8 g/cm 8.9 g/cm 硬さ Hv (0.1) (析出状態) 500 ~ 700 150 ~ 500 磁場中での磁性 (析出状態) 非磁性~強磁性 強磁性 塩水噴霧 良好 無電解 Ni より劣る 均一析出性 良好 無電解 Ni より劣る 析出速度 3 ~ 25 μm/hr 数十 μm/hr 浴 温 30 ~ 94 ℃ 常温~ 55 ℃ 浴安定性 電気 Ni より劣る 安定 不導体へのめっき 可 不可 表 1 電気ニッケルと無電解ニッケルの皮膜
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KUROSAKA, S., & SATO, M. (2014). Properties of Electroless Nickel Deposit. Journal of the Surface Finishing Society of Japan, 65(3), 118–122. https://doi.org/10.4139/sfj.65.118
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