Local Winds in Japan

Abstract

局地風とは，数km～100km の限られた地域に吹く地 域固有の風のことを言う（荒川 2011）12)。局地風には， 地形の影響によって吹くタイプ（動因風，例えばおろし 風や地峡風）と熱的な不均一によって吹くタイプ（熱因 風，例えば海風）がある。日本は複雑な地形に覆われて いるため，局地風が吹きやすい環境となっている。実際， 日本には様々な局地風が存在する（図1）。 人間生活への局地風の影響として，例えば，やまじ風 などの強風による建造物の倒壊や，やませがもたらす日 照不足による農作物への影響などがあげられる（川村 1995）16)。フェーンがもたらす高温・乾燥は，農作物や 人間健康に影響を及ぼすこともある（Takane and Kusaka 2011）。海風は，大気汚染物質を輸送し，都市の 風下にまで影響を及ぼす（Kurita 1990）4)。一方で，局 地風は，人間生活に良い影響をもたらすこともある。た とえば，立川町は三大悪風の一つである清川だしを利用 し，風力発電を行っている（荒川 2011）12)。 本解説では，このような人間生活と密接に関わりを持 つ局地風の中で，地形の影響で駆動される強風として有 名なやまじ風と清川だしを取り上げ，地形と風の関係を 解説する。さらには，熱的な影響も受けていると考えら れている空っ風についても紹介する。