Abstract
生態系サービスの持続的利用を考える上で,生物がどのようなサービスを人間に提供するかだけでなく,このサービスを提供する生物が環境変化によってどのような影響を受けているかの双方の理解が不可欠である.本研究では,東南アジアから繁殖のために日本に渡ってくる夏鳥の中から,気象庁生物季節観測(1953~2008年)および標識調査(1961~1971年,1982~2011年)で情報が多く得られているツバメ,カッコウ,オオヨシキリ,コムクドリを選び,成鳥および巣内雛の出現時期の長期変化,両時期と前冬および当春の気温との関係,および植物,昆虫の春期初認日との関係について調べた.その結果,ツバメ,オオヨシキリ,コムクドリの成鳥および巣内雛は,出現時期が早期化する傾向が見られたが,カッコウだけは出現時期が近年晩期化する傾向が見られた.ツバメ,オオヨシキリの成鳥および巣内雛の出現時期は,気温が高い年ほど早期化する傾向が見られたが,カッコウの出現時期は気温が高い年ほど晩期化する傾向が見られた.これらの長期変化の速度は,一部を除いて,欧米の先行研究の結果からの大きな逸脱は見られなかった.また,これら鳥類と植物および昆虫の出現時期とのずれは一定で推移しているとは言えなかったが,早期化あるいは晩期化する鳥類を隔てる要因や,フェノロジカルミスマッチをもたらす要因について明らかにすることはできなかった.今後フェノロジカルミスマッチに注目した研究を進める際には地域差を考慮した解析が必要である.出口 智広 and 吉安 京子 and 尾崎 清明 and 佐藤 文男 and 茂田 良光 and 米田 重玄 and 仲村 昇 and 富田 直樹 and 千田 万里子 and 広居 忠量,日本に飛来する夏鳥の渡りおよび繁殖時期の長期変化,日本鳥学会誌,0913400X,日本鳥学会,2015,64,1,39-51,https://cir.nii.ac.jp/crid/1390001204482256128,https://doi.org/10.3838/jjo.64.39
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DEGUCHI, T., YOSHIYASU, K., OZAKI, K., SATO, F., SHIGETA, Y., KOMEDA, S., … HIROI, T. (2015). Long-term changes in migration and breeding periods of avian summer visitors to Japan. Japanese Journal of Ornithology, 64(1), 39–51. https://doi.org/10.3838/jjo.64.39
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