Abstract
特 集 鉄鋼材料における侵入型溶質原子-置換型溶質原子のナノクラスタリング 宮 本 吾 郎 1) 沼 倉 宏 榎 木 勝 徳 1) 上 杉 徳 照 大 谷 博 司 2) 古 原 忠 2) . は じ め に 析出強化は金属材料の強化機構の一つであり,他の強化機 構に比べ,大きな強化量が得られることが知られている (1) . 特に,Al 合金や Mg 合金では溶質原子が局所的に濃化した G P ゾーンやナノクラスターを積極的に利用して高強度化 が図られている (2)(3) .一方,鉄鋼材料では固相変態を利用し た組織制御が広く用いられているが,ナノクラスターの利用 はそれほど進んではいないのが現状である. 著者らは,a Fe(bcc 構造)合金の窒化処理において,窒 素原子(N)と置換型原子(s)が濃化したクラスターが形成さ れ,大きな硬化が生じることを見出している (4)(5) .この N s クラスタリングは,N s 間の引力相互作用によって引き起こ される.そこで,本稿では窒化材で観察されている N s ク ラスタリングと硬化挙動を紹介した後,N s 相互作用の実測 と理論評価ならびにクラスタリングシミュレーションに関し て,JST CREST「軽元素戦略に基づく鉄鋼材料のマルチス ケール設計原理の創出」(2011 2015年度,研究代表古原 忠),JST 産学共創プログラム「ナノクラスタリング・ナノ 析出の学理に基づく鉄鋼材料の表面硬度分布制御と摩擦摩耗 特性向上の指導原理確立」(2016 2019年度,研究代表宮 本吾郎)にて得られた成果を中心に紹介する. . 窒化処理における N s クラスタリングと表面硬化 窒化処理は,機械構造部材や金型等の耐摩耗性,疲労強 度,耐食性を向上させるために用いられ,マルテンサイト変 態を利用した浸炭処理や高周波焼入れと比べ,処理ひずみが 小さく高精度部材の表面硬化に適していることから,窒化処 理における表面微細組織制御に改めて注目が集まっている. 窒化処理では,試料表面から N 原子が侵入,拡散し,母 相中に固溶している s 原子と微細な合金窒化物を形成するこ とで表面近傍の硬さが上昇する.通常,窒化鋼には窒化物生 成元素である Cr, Al, V, Mo, Ti が添加されており,窒化処 理における元素の役割を理解するため,Fe s 二元フェライ ト(a)合金を用いてその窒化挙動が多く調べられている. Fe Cr 合金の窒化処理では CrN(B1 構造)が比較的短時間か ら形成されて表面硬化する一方,Fe Al 合金の窒化処理では 準安定な AlN(B1 構造)が徐々に析出し,長時間処理後に安 定な AlN(ウルツ鉱型構造)へと遷移するため,通常の窒化 時間では表面硬化が小さいことが明らかになっている (5) .一 方,Fe Ti 合金の窒化では短時間の窒化処理でも大きな表面 硬化が得られ,X 線回折や TEM による歪コントラスト解 析,内部摩擦といった間接的な手法により,図に示したよ うな{001} a 面上に Ti 原子が 1 層並びその周囲に N が結合 しているクラスターモデルが提唱されている (6) .このクラス ターモデルは N s 原子の規則化を伴う bcc 中での相分離と
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Miyamoto, G., Numakura, H., Enoki, M., Uesugi, T., Ohtani, H., & Furuhara, T. (2020). Nano Clustering of Interstitial and Substitutional Solute Atoms in Steels. Materia Japan, 59(3), 128–133. https://doi.org/10.2320/materia.59.128
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