Abstract
目的 病院に勤務する熟練助産師が分娩第一期の分娩進行を判断していく一連のプロセスの特徴を明らかにすることである。対象と方法 本研究では、エキスパートの条件を兼ね備え、妊産婦に卓越した助産を実践している助産師を熟練助産師と定義し、研究では総合病院の産科病棟に勤務する4名の熟練助産師を対象とした。データ収集は分娩介助場面の参加観察と半構成的インタビューにより行った。熟練助産師が行う臨床判断の特徴についてカテゴリー化を目的として、質的帰納的に分析した。結果 熟練助産師は、初回面会時に分娩進行に影響する分娩3要素、心理的背景、リスク要因を統合して【産婦の全体像の把握】を行いながら、【個別の分娩進行の見通し】を立てていた。その中から分娩進行を阻害する【阻害要因の見極め】を行い、有効な【ケアの選択】をしていた。さらに、選択したケアを実践しつつ、分娩進行における【ターニングポイントの予測的な察知】、または必要に応じた【ターニングポイントの意図的な生み出し】を行っていた。その後、分娩進行におけるターニングポイントを踏まえ、【分娩進行の見通しの立て直し】および【阻害要因の再度の見極め】【新たなケアの選択】を繰り返し、方針の軌道修正を行っていた。以上の分析から、熟練助産師は分娩第一期の分娩進行を判断していく中で、助産師としての信念、熟練した技術を臨床判断の基盤とし、産婦とともに産む関係の構築を行い、情報把握の手段として活用していることがわかった。結論 熟練助産師が行う一連の臨床判断プロセスの中で、分娩進行の変化をターニングポイントとして予測的に察知または意図的に生み出すことは、分娩進行の異常への逸脱を予防し、母子の安全確保に寄与するものである。このプロセスはハイリスクな分娩に対峙する病院勤務の助産師により特徴的なものであると考えられる。(著者抄録)
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KIMURA, A. (2016). Characteristics of clinical judgement performed by hospital-based expert midwives. Journal of Japan Academy of Midwifery, 30(2), 312–322. https://doi.org/10.3418/jjam.30.312
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