Abstract
講座の開始にあたって 耐食性金属材料として鉄系,特にステンレス鋼が多く用いられているが,用途に応じて様々な非鉄金属材料も用い られる。腐食防食部門委員会では耐食性の観点から,各種金属材料のパフォーマンスについて,例会や出版物をつう じて様々な活動を行ってきた。最近では,ステンレス鋼について,その活用の基礎知識に関して5回にわたる詳細な 講座を「材料」に掲載 (2011 年 7 月号~10 月号) するとともに,第 291 回例会(2013 年 3 月開催)では主題「ステンレ ス鋼活用の基礎知識」としてこれらの内容を各著者に解説していただいている。 一方,非鉄金属材料については,たとえば銅系材料は耐食性金属材料として錫,鉛などとともに,鉄系材料より遥 かに長い使用実績がある。また,ニッケル合金はステンレス鋼よりもさらに耐食性に優れる材料として化学プラント など様々な装置産業等にて多用されている。一方,軽量材料として,アルミニウム系,チタン系とともにマグネシウ ム合金の重要性が近年特に高まっている。さらに,コバルト,タンタル, ジルコニウムなどの特殊な元素も,一部の用 途では不可欠な耐食性材料として活用されている。 ところで,耐食性非鉄金属材料を専門とする技術者・研究者は鉄鋼材料と比べて数少ないため,ステンレス鋼に代 表される鉄系耐食性材料と比較して,耐食性非鉄金属材料に関する知識・技術の普及が必ずしも十分ではない。従っ て,耐食性非鉄金属材料の選択についてのまとまった資料が乏しいのが現状である。そこで,本講座では耐食性非鉄 金属として比較的使用量の多い,銅,アルミニウム,ニッケルさらにチタンを取り上げ,実用材料として用いられて いるこれら金属・合金の特徴と耐食材料としての特性への理解を深め,これらの材料を用いるに際しての選択指針と することを意図して,以下の4回からなる連載講座を企画した。 1.アルミニウムならびにアルミニウム合金 大谷良行,兒島洋一 (㈱UACJ) 2.銅ならびに銅合金 川辺允志 (㈱関西テクノカンパニー),鈴木 忍 (㈱UACJ) 3.チタンならびにチタン合金 中山武典 (㈱神戸製鋼所) 4.ニッケル基合金 菅原克生 (日立金属 MMC スーパーアロイ㈱) 本講座が材料選択にかかわる多くの技術者に活用されるとともに,腐食防食分野の技術者・研究者の各種非鉄材料 の耐食性への理解に役立つことを期待している。 (腐食防食部門委員会委員長 藤本 慎司 (大阪大学 大学院工学研究科)) 1.アルミニウムならびにアルミニウム合金 † 大谷良行 * 兒島洋一 * Ⅰ:Aluminum and Aluminum Alloys 1 はじめに アルミニウム(Al)のクラーク数(存在比)は 7.6% で,酸素(O)の 49.5%,珪素(Si)の 25.8%に次ぎ地 殻構成元素の中で 3 番目であり,アルミニウムは実用 金属の中では最も恵まれた資源を持っている.アルミ ニウムは,ケイ酸塩,水酸化物,酸化物として存在し ているが,アルミニウムの原鉱石にはアルミニウムが 水酸化物として存在するボーキサイトが用いられてい る.バイヤー法によりボーキサイトからアルミナが製 造され,ホール・エルー法によりアルミナからアルミ ニウムが精錬される.このアルミニウムの工業生産は 開始されてから約 130 年であるが,アルミニウム本来 の優れた特性とそれを有効に生かした材料技術の発展 により,その生産量は銅(Cu)を上回り,鉄鋼に次ぐ 第 2 位の金属材料の地位を占めている. アルミニウムには多種多様の合金があり,さらに質 別によりその特性は大きく変化する.例えば,引張強 さは工業用純アルミニウムの 100 N mm-2 以下から高強 度合金の 600 N mm-2 以上の範囲をほぼ連続的にカバー しており,用途に応じたアルミニウムおよびアルミニ † 原稿受理 平成26年2月20日
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OYA, Y., & KOJIMA, Y. (2014). Guidelines for The Selection of Corrosion-Resistant Non-Ferrous Metals. Journal of the Society of Materials Science, Japan, 63(10), 746–753. https://doi.org/10.2472/jsms.63.746
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