Abstract
日本食の風味を支える出汁は,心身への健康機能を有することが最近の研究により明らかにされてき ているがいずれの報告も長期摂取による効果に着目しており,短期的な影響については知見が乏しい。本 研究では,出汁の単回摂取による効果を明らかにすることを目的とし,鰹と昆布の合わせ出汁の摂取および 香気の吸入が自律神経活動および精神的疲労に及ぽす影響について検討を行った。 24名の健康で非喫煙の ボランティアが本研究に参加した。被験者は, 9:00に指定の朝食を摂取し, 10: 30-11 : 30に実験を実施 した。自律神経活動は心拍変動解析により評価し,疲労の評価では,一定の疲労負荷として単純な計算タス ク(内田クレペリンテスト)を 30分間課し,その前後でフリッカー試験を実施した。加えて, VisualAna— logue Scale (VAS) を用い,主観的な疲労度および試料に対する嗜好度を評価した。出汁の単回摂取では, 対照の水と比べて,心拍数低下と副交感神経活動の一過性上昇が認められた。また,出汁の香気吸入でも同 様の効果がみられた。さらに出汁の単回摂取により,計算タスク後のフリッカー値低下が抑制され, VAS の結果より主観的な疲労度も軽減されていることが示された。これらの結果から,出汁の摂取は副交感神経 活動を上昇させる作用を介して, リラックスと抗疲労の効果を誘起する可能性が示唆され,その作用におけ る香気成分の重要性が示された。
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Moritaki, N., Inoue, K., & Yamazaki, H. (2018). Effect of Japanese dashi on Autonomic Nervous System Activity and Mental Fatigue in Humans. Nippon Eiyo Shokuryo Gakkaishi, 71(3), 133–139. https://doi.org/10.4327/jsnfs.71.133
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