Abstract
症例は84歳の女性。認知症のため施設入所中である。某月某日朝、意識障害と40℃の発熱のため近医へ救急搬送された。動脈血ガス分析で低酸素血症と代謝性アルカローシスを認め、気管挿管され当院へ搬送された。来院後の血液検査で高カルシウム血症(13.8mg/dl)あり、胸部CT検査では左下葉に気管支透亮像を伴う浸潤影を認めた。頭部CT検査では明らかな異常所見はなかった。高カルシウム血症により意識障害を呈し誤嚥性肺炎を併発したと考え、入院の上、全身管理を開始した。呼吸に関しては人工呼吸器管理に加え、誤嚥性肺炎に対する抗菌化学療法を行った。高カルシウム血症の原因について精査したが、副甲状腺機能亢進症および悪性腫瘍は否定的であった。長期にわたり乳酸カルシウムおよび酸化マグネシウムが投与されており、これらによりミルクアルカリ症候群に陥り、その結果として高カルシウム血症性クリーゼを来したと考えられた。これら薬剤の投与を中止するとともにカルシトニンおよびビスホスホネートの投与を開始した。その後、徐々に血清カルシウム値は正常化し、それに伴い意識状態も改善した。第5病日には抜管し人工呼吸器から離脱でき、第6病日に紹介元の病院へ転院となった。ミルクアルカリ症候群は、牛乳や炭酸カルシウムのようなカルシウムと弱アルカリ性の吸収性制酸薬の過剰な経口摂取により発症するとされ、以前は消化性潰瘍治療時に認められていたが、その治療の変遷とともに激減した。しかし近年、骨粗鬆症の管理および予防に炭酸カルシウムが頻用されるようになり、再び報告されるようになってきている。とくに高齢者では、上記のような目的で長期間にカルシウム製剤を処方されている例が多く、かつ慢性の便秘に対して弱アルカリであるマグネシウム含有緩下剤を処方されている例も多い。高齢者の高カルシウム血症の際には本症候群の可能性も検討すべきと考える。(著者抄録)
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Oshima, K., Hagiwara, S., Aoki, M., Murataa, M., Kaneko, M., Nakamura, T., & Furukawa, K. (2013). Hypercalcemic crisis caused by milk-alkali syndrome: report of a case. Nihon Kyukyu Igakukai Zasshi, 24(6), 345–350. https://doi.org/10.3893/jjaam.24.345
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