Abstract
1. はじめに (1) 背景と目的 近年, 人々の都心部における行動を把握する手法として, スマートフォン (以下,スマホ) のアプリを用いた回遊調 査 (以下, スマホ型回遊調査) の実施が増えている. このス マホ型回遊調査では,GPS 機能で詳細な時刻ごとの移動軌 跡を収集可能である.一方で,サンプル・サイズの増加に 伴い膨大になるデータについて,その適切な分析や理解は 困難になりやすい.そこで,これらの膨大なデータの特性 をより効率的に抽出する手法が必要となる.この課題に対 して,佐藤・円山の研究 1) では,カーネル密度推定法を利 用して,調査参加者の回遊圏域を分析する手法を提案して いる.この回遊圏域は都心部での回遊時間とは異なる傾向 があることがわかり,回遊行動特性を表現する数値指標と しての有効性も確認されている.一方で,回遊圏域では都 心部での移動と滞在の実態を確認することはできない.そ こで,本稿ではカーネル法をベースとした回遊圏域の推定 手法を応用することで,個人の滞在地点を簡易的に推定す る手法を提案する. さらに,佐藤・円山による回遊圏域の分析 1) では,位置 情報に付属した時刻のデータを踏まえた分析は行われてい ない.経時的な移動軌跡を取得可能であるスマホ型調査の 利点を活かした分析手法が求められる.本研究では,地理 情報のみの平面地図に時間軸を加えた 3 次元カーネル密度 図を作成することで,回遊行動の時空間的な集積を明らか にする.さらに,この 3 次元カーネル密度分布の体積値を 算出する.これにより,広域に回遊していることを示せる 回遊圏域と,都心部に長時間滞在したことを示せる回遊時 間の両者から総合的に回遊の活発度合いを評価することを 可能にし,回遊特性の平易な分析指標化を目指す. (2) 既存研究のレビューと本研究の位置づけ GPSを用いた研究の展望をまとめた矢部らの研究 2) では, 膨大な観測データを効率的に解析する有効な分析手法の開 発が急務であるとしている.さらに,矢部らは GPS 調査で 得られたデータを地図上に視覚化する手法も確立されてい るとは言い難いとしている. 本稿では 2013 年度に熊本都心部で実施されたスマホ型 回遊調査から得られたデータに提案手法を適用する.この 調査については,参加者の属性分布などを含めた詳細や, 従来の紙面による回遊調査の結果との比較等が別途報告さ れている 1), 3), 4) .この中で,カーネル密度の面積値で回遊 特性を表現した佐藤・円山の研究 1) では,時刻情報も踏ま えた 3 次元カーネル密度を用いた分析の可能性が指摘され ている.GPS データの 3 次元視覚化の事例としては,ひっ たくり犯罪に適用した分析例 5) や,観光行動を対象とした 小樽市 6) の例がある. しかし, 3 次元カーネル密度を用いた 定量的な分析手法は確立されていない. これらの既存研究に対して,本研究では,まず,スマホ 型回遊調査より得た膨大なデータから個人の滞在地点を簡 便に推定する手法を提案する点に新規性がある.スマホ型 調査では,加速度センサーから取得されるデータを用い, 移動・滞在状態などの回遊状態を自動判別する,より高度 な分析も今後期待されている 7) .本研究で示す,カーネル 法を用いた滞在地点の推定はそれらの前段階の簡便な一手 法の提案と位置づけられる.さらに,GPS データの 3 次元 視覚化だけでなく,時空間的な回遊行動の多さを定量的に 評価する指標を提示している点にも新規性があり,膨大な データの簡便な分析手法としての可能性を提示する. カーネル密度推定法を応用したスマホ型回遊調査データの時空間分析 We conducted smartphone-based visitor's behavior survey in downtown Kumamoto in November and December 2013 and successfully collected 1,086 samples. The survey data include huge GPS tracking of participants. However, efficient method to analyze and understand huge GPS data has not been established. The objective of this paper is to propose a simple method to clarify visitor's behavior characteristic using 2D and 3D kernel density estimation. We define the central points of 50% kernel area as visitors' staying spots. We demonstrate the difference of visitors' staying spots by their entry points in downtown using this method. Finally, we visualize the time-space visitor's hot spot by 3D kernel density map. In this map, the volume of 95% kernel can be comprehensive index to evaluate the size of activity area and length of stay in downtown.
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Sato, T., & Maruyama, T. (2016). A Time-Space Analysis of Smartphone-Based Travel Survey Data Applying Kernel Density Estimation. Journal of the City Planning Institute of Japan, 51(2), 192–199. https://doi.org/10.11361/journalcpij.51.192
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