Abstract
一般論文 鳥類標識誌 (Bull Jpn Bird Banding Assoc) 29: 25-31 (2017) オオコノハズク Otus lempiji は,中国北東部,沿海州,サハリン,日本から,ベトナム北部,マレー 半島,マレーシア,ボルネオにかけて分布する夜行性のフクロウ類である(日本鳥学会 2012) .この うち日本には,留鳥として北海道から九州まで広く分布する亜種オオコノハズク O. l. semitorques と, 同じく留鳥として伊豆諸島と琉球諸島に分布する亜種リュウキュウオオコノハズク O. l. pryeri のほか, 新潟で亜種サメイロオオコノハズク O. l. ussuriensis の古い記録がある(日本鳥学会 2012) .なお,ミ トコンドリア DNA を用いた研究では,日本に分布する上記 ₃ 亜種はそれぞれ,独立種 O. semitorques の亜種とされるが(König & Weick 2008) ,本稿では日本鳥類目録第 ₇ 版(日本鳥学会 2012)に従い, O. lempiji の亜種として扱う. 鳥類標識調査をはじめとする鳥類の生態調査において,性や齢を正確に識別することは,性比や成 幼比の把握のほか,性や齢によって,渡りの時期や経路,越冬地,寿命がどう異なるかなどを明らか にするために不可欠である(山階鳥類研究所鳥類標識センター 2009) .一般的に,成鳥と幼鳥の換羽 様式が異なる種では,幼羽の有無や換羽の進行状況が齢の識別に役立つ(山階鳥類研究所鳥類標識セ ンター 2009) .フクロウ類でも同様で,たとえば,シマフクロウ Ketupa blakistoni では ₂ 年目の春ま で次列大雨覆に幼羽が残るため齢の識別が可能である(山本 1999) .キンメフクロウ Aegolius funereus では,初列風切と次列風切に旧羽と換羽後の新羽が混在し,そのパターンが齢によって異なるため, 産まれた年と ₂ 年目,および ₃ 年目以降の齢の識別が可能である(Korpimäki & Hakkrainen 2012) . 山階(1941)によれば,オオコノハズクの成鳥は ₇ 月より ₉ 月に至る間に完全換羽を行うのに対し, 幼鳥は(おそらく巣外育雛期に) ,幼羽の風切が伸びきるのとほぼ同時に体羽の換羽に入り,初列大雨 覆を除く雨覆および体羽を換羽して第一回冬羽となる.すなわち,独り立ち以降の幼鳥はすべて第一 回冬羽への部分換羽を終えているか,部分換羽中である.したがって,秋から春にかけて,これらの オオコノハズク Otus lempiji の齢の識別について 深井宣男 * オオコノハズク Otus lempiji の齢の識別について論じた.栃木県内での鳥類標識調査で捕獲さ れた個体の写真を用いて羽衣を比較した結果,風切や尾羽,初列大雨覆の色彩と長さなどで齢を 識別できる可能性が高いことがわかった.すなわち,風切や尾羽は,幼鳥では幅が狭く先細りす る形状であるのに対し,成鳥では幅が広く先端は丸い形状であった.また,第一回冬羽の幼鳥で は初列大雨覆が淡色で,次列大雨覆の先端より短いのに対し,成鳥では暗色で,次列大雨覆の先 端と同程度までの長さがあった.幼鳥は,秋にこれらの羽を換羽しないため,生まれた翌年の繁 殖期までは齢の識別が可能だと考えられた. :オオコノハズク,Otus lempiji,換羽,齢の識別.
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FUKAI, N. (2017). Age determination of the Collared Scops Owl Otus lempiji. The Bulletin of the Japanese Bird Banding Association, 29(1), 25–31. https://doi.org/10.14491/jbba.ms086
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