Abstract
Key words:パーキンソン病/自律神経障害/非運動症状/premotor symptom 要 旨 パーキンソン病(Parkinson's disease:PD)の非運動症状として,自律神経障害は頻度の 高い病態であり,中枢神経のみならず,末梢神経,自律神経にもαシヌクレインが沈着する ことが原因と考えられている.便秘,循環機能障害,排尿障害,性機能障害,発汗障害,流 涎などの症状を認めるが,運動症状の発現以前から出現する症状も多く premotor symptom とも呼ばれている.自律神経障害は患者の ADL,QOL を低下させるため,早期発見・ 治療を行うことが重要である. * 群馬大学大学院医学系研究科 リハビリテーション医学 (〒371-8511 群馬県前橋市昭和町 3-39-22) E-mail:nwada@gunma-u.ac.jp DOI:10.2490/jjrmc.56.204 はじめに パーキンソン病(Parkinson's disease:PD)に自 律神経障害が伴うことは古くから知られている. James Parkinson の原著においても,便秘を伴うこ とが報告されている.L-dopa による治療において は運動症状が治療対象の中心として研究が続けら れてきたが,近年は自律神経障害を含む非運動症 状が注目されてきている.非運動症状として,表 ø のような症状がよくみられる ø) .非運動症状は,運 動症状の発現の ù÷ 年以上前からみられることがわ かっており,premotor symptom と呼ばれている. 非運動症状の中でも便秘,嗅覚障害,レム睡眠行 動障害などは運動症状の発現前または発症後早期 からみられ,精神症状は進行してから発現すると いわれている(図 ø) ù) . 自律神経障害の原因 PD では,病理学的に迷走神経背側核への Lewy 小体の出現が確認されており,自律神経中枢への 障害の原因と考えられているが,中枢神経のみな らず,心臓神経叢,腸管神経叢などの末梢神経に もαシヌクレイン凝集体の出現が報告されており, 自律神経全体が広範に障害されていることがわ かってきた ú, û) .心臓交感神経の障害を診断するた めに, øùú I で標識した meta-iodobenzylguanidine (MIBG)を使用した心筋シンチグラフィーが,PD とその他のパーキンソニズムとの鑑別や早期診断 に用いられる(図 ù) .PD と同様に心臓交感神経 特集 パーキンソン病 Jpn J Rehabil Med 2019;56:204-208 表 ø パーキンソン病にみられる非運動症状 自律神経障害 便秘,起立性低血圧,食事性低血圧,排尿 障害,性機能障害,発汗障害,流涎 精 神・認 知・ 行動障害 気分障害,幻覚・妄想,行動障害,アパ シー,アンヘドニア,うつ,不安,認知機 能障害,遂行機能障害,注意障害,視空間 認知障害 睡眠障害 日中過眠,夜間不眠,突発的睡眠,レム睡 眠行動障害 感覚障害 嗅覚障害,痛み
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Wada, N. (2019). Autonomic Disorders Associated with Parkinson’s Disease. The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine, 56(3), 204–208. https://doi.org/10.2490/jjrmc.56.204
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