Abstract
背景:慢性腎臓病(CKD)は、IgA腎症やループス腎炎などの慢性糸球体腎炎、糖尿病腎症や腎硬化症など、全ての慢性腎臓病を含んだ疾患概念である。CKDは末期腎不全(ESKD)の準備状態であると同時に、心血管疾患(CVD)の重大なリスク因子であることが明らかとなっている。アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬やアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)は、降圧薬として広く用いられているが、両薬剤の腎保護効果にも注目が集まっている。今回、順天堂大学とインドネシア大学、アイルランガ大学は、高血圧を伴うCKD患者におけるACE阻害薬イミダプリルの尿蛋白減少効果を検討する共同研究を行った。方法:23名の高血圧を伴うCKD患者にカルシウム拮抗薬(CCB)とイミダプリルを投与し、腎機能と尿蛋白量の変化を治療前後で比較した。CCBを投与している患者にイミダプリルを追加投与(5mg/日)し、血圧が目標値(130/85mmHg未満)に達しなかった場合には、さらにイミダプリルを10mg/まで増量し、投与後12ヵ月で評価した。結果:CCBにイミダプリルを加えることによって、6ヵ月後・12ヵ月後の収縮期血圧および拡張期血圧は有意に低下した。尿中アルブミン排泄量は、投与開始時には顕性蛋白尿レベル(0.3g/g・Cr以上)であったが、6ヵ月後・12ヵ月後は共に微量アルブミン尿レベル(0.299g/g・Cr以下)にまで有意に減少した。結語:イミダプリルとCCBの併用によるCKD患者の腎保護効果を、順天堂大学とインドネシア大学、アイルランガ大学の共同研究により検討した。イミダプリルを軸とした治療により、CKD患者の血圧を有意に低下し、尿中アルブミン排泄量は有意に減少した。以上より、イミダプリルは高血圧を伴うCKD患者において、腎保護的に作用することが確認された。(著者抄録)
Cite
CITATION STYLE
TSUGE, T. … TOMINO, Y. (2010). Japan-Indonesia Collaborative Study of Imidapril on Antiproteinuric Effect in Hypertensive Patients with Chronic Kidney Disease (CKD). Juntendo Medical Journal, 56(2), 100–106. https://doi.org/10.14789/pjmj.56.100
Register to see more suggestions
Mendeley helps you to discover research relevant for your work.