Abstract
キーワード Glycine max,伸育型,収量,一粒重,一粒重の均一性,倒伏,準同質遺伝子系統 1.はじめに ダイズ(Glycine max (L.) Merr.)は,豆腐,納豆,味 噌,醤油,煮豆等,日本の伝統的な食品に加工される重 要な作物である.国内での品種開発は,生育特性の類似 する近縁の優良品種・系統同士を交配することで,成熟 期,耐倒伏性,病虫害抵抗性等は着実に進歩してきたが, 収量については明瞭な進歩が得られず,多収品種の開発 は喫緊の課題となっている. 茎伸育性は収量に影響を及ぼす重要な形質として知ら れており,開花後の主茎の伸長の違いから,無限伸育型, 半無限伸育型,有限伸育型に分類される.伸育型は 2 つ の遺伝子 Dt1 と Dt2 の組合せによって支配され,Dt1 Dt2 の遺伝子型を有する個体は半無限伸育型,Dt1 dt2 の遺伝 子型を有する個体は無限伸育型,dt1 Dt2 及び dt1 dt2 の 遺伝子型を有する個体は有限伸育型を示す(Bernard 1972) .無限伸育型は開花後も茎の伸長や葉の形成を続け るのに対し,有限伸育型は開花後まもなく茎の伸長や葉 の形成を停止することが知られており,半無限伸育型は その中間的な形質を示す(Bernard 1972) .無限伸育型で は,開花後に展開する上位の葉は徐々に小さくなり,草 姿は円錐状を呈するため,密植条件下でも下位葉まで光 の透過が良好になること(Thseng and Hosokawa 1972,礒 田ら 1996) ,開花後も栄養成長が盛んであり,害虫によ る食害などの葉の損失に対する補償作用があることから (Fehr et al. 1977) ,無限伸育型の利用は国産ダイズの安定 生産に貢献する可能性を秘めている. しかし,無限伸育型は,有限伸育型より主茎長が長い 2020 年 9 月 19 日受領 日本育種学会奨励賞受賞(第 58 号) 2020 年 11 月 11 日 J-STAGE 早期公開 Correspondence: katoshin@affrc.go.jp ため,倒伏しやすくなるリスクがあること,また各々の 節によって開花時期が異なるため,一粒重及びその均一 性に少なからず影響を及ぼすことが懸念され,国内の育 種において敬遠される傾向にある.また,半無限伸育型 も国内の育種においてほとんど利用されてこなかったた め,日本の栽培品種はほぼ全てが有限伸育型となってお り,国内における無限及び半無限伸育型の育種的利用の 可能性についてほとんど検討されてこなかった. 筆者らは,米国の無限伸育型品種及び日本の有限伸育 型品種の交配に由来する組換え自殖系統(RILs)や,国 内の有限伸育型の品種・系統に無限及び半無限伸育性を 導入した準同質遺伝子系統(NILs)を複数環境で栽培 し,無限及び半無限伸育型の利用が収量,耐倒伏性,及 び一粒重等の重要な形質に及ぼす影響を明らかにしてき た.本稿では,これまで取り組んできたダイズの生産性 向上のための無限及び半無限伸育型の育種的利用の検討 結果について紹介する. 2.ダイズの組換え自殖系統における有限及び無 限伸育型の収量及び収量構成要素の比較 茎伸育性が収量に及ぼす影響については古くから研究 がなされており,伸育型間の収量の優劣は遺伝的背景や 栽培環境によって異なることが報告されている(Ouattara and Weaver 1994, Cober and Tanner 1995, Cober and Morrison 2010) .この要因として,茎伸育性と遺伝的背景 との交互作用,及び茎伸育性と栽培環境との交互作用が 考えられ, 無限伸育型を育種に利用するにあたっては各々 の遺伝的背景や栽培環境で伸育型間の収量を比較する必 要がある.分子マーカーよるダイズ遺伝資源の多様性の 解析から,日本品種群は北米や中国のものとは異なった 独特な遺伝資源プールを有していることが示されている
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Kato, S. (2020). Breeding studies on the stem growth habit for yield improvement in soybean. Breeding Research, 22(2), 196–200. https://doi.org/10.1270/jsbbr/20j15
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