Abstract
本稿では, 相互作用過程における「排除」の問題が, しばしば問題の存否そのものを争点とせざるをえない点に注目し, そのような排除問題の特質を生み出す論理的構造を, ルーマンの「包摂/排除」論を応用することによって解明する. 相互作用過程における排除を分析することの困難は, 対面的な排除が, 必ずしも露骨な加害行為や言語的暴力を伴うわけではないということにある.すなわち, 実証主義的に観察可能な行為の事実性にのみ基づくならば, 排除という経験のリアリティに迫りがたく, 他方, その経験を個人的な認識の問題に還元するなら, 排除の社会的側面を捉えにくい. 本稿では, N.ルーマンによる「包摂/排除」の定義を, 「パーソン」, 「理解」, 「ダブル・コンティンジェンシー」の諸概念とともに検討していく.それによって, コミュニケーションの成立を基底で支える「意味をめぐる包摂/排除」という関係に焦点を当てる.相互作用システムをこの次元で捉えることにより, 包摂と排除が単純な二項対立図式では捉えられないこと, また, 包摂は必ずしも排除の解決を意味せず, むしろ問題は包摂の在り方を主題化することで解決が図られるべきであることを指摘したい.
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WATARAI, T. (2006). “Inclusion”and“Exclusion” in Social Interaction Processes. Japanese Sociological Review, 57(3), 600–614. https://doi.org/10.4057/jsr.57.600
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