Abstract
農業における労働力不足を解消するために雇用労働力とりわけ外国人労働力に依存する傾向は、今後強まっていくことが予想される。外国人研修生の受け入れは、労働力確保ではなく開発途上国への技術移転を本来の目的とする。しかし、農業分野でも研修生の所定時間外作業や技能実習生への労働関係法規違反などの不正行為認定件数が2007年度に449件報告されるなど、制度の趣旨と実態にはかい離が見られる。これらの問題に対応し、平成21年度の入管法改正では研修生・技能実習生に国内労働関係法令を適用し、労働者としての権利保護を強化している。この改正そのものは、外国人研修・技能実習制度の趣旨を変更するものではないが、我が国全体の少子高齢化の状況に鑑みれば、農業分野における労働力不足を解消するために、外国人労働力に依存する必要性が今後高まることは不可避であり、その制度設計の検討が重要である。そこで本論では、季節性の強い農業分野における外国人労働力の受入制度を我が国が設計するにあたっての合意を導くことを目的として、イギリスにおける非熟練外国人季節農業労働者受入制度(SAWS)の変遷と実態を分析する。
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Uchiyama, T. (2010). The Institutional Change in the Seasonal Agricultural Workers Scheme in the UK and Related Problems. Journal of Rural Problems, 46(1), 104–109. https://doi.org/10.7310/arfe.46.104
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