Abstract
1.はじめに 1998 年より日本学術振興会(JSPS)とタイ国学術 研究会議(NRCT)による,拠点大学交流事業および アジア教育研究拠点事業に参加させて頂いた。そのプ ロジェクトのもと 2011 年 11 月に,ベトナムの伝統酒 の調査を行った。 メコン川下流の三角州は、メコンデルタ(Mekong Delta)と呼ばれている(第 1 図) 。この地域には,伝 統的なベトナムの酒をつくっている小規模な蒸留所, 醸造所が点在している。メコンデルタの Go Den 地区, Cai Lay 地区,Tra Vinh 地区,O Mon 地区の蒸留所, 醸造所を訪問し,ベトナムの伝統酒の製法と特性を調 べた。ベトナムでは,一般にメン(men)と呼ばれる 微生物スターターをもちいて酒がつくられている。 2.米と麹について 日本では粳米(うるち米,nonglutinous rice)が, 主食や酒米の原料として主流であるが,ベトナムやタ イ 国 な ど 東 南 ア ジ ア で は 糯 米( も ち 米,glutinous rice または sticky rice)が酒の主な原料である。タイ 国の北部では,蒸した糯米を食用にする地域もある。 日本では,蒸した米に Aspergillus 属のカビをつけ た散麹(ばら麹)が,糖化剤・発酵原料として使用さ れるが,中国,ベトナム,タイ国では餅麹(もち麹) がひろく使用されている。 中国では,米酒(米製蒸留酒)などは小曲と呼ばれ る餅麹をもちいてつくる。ベトナムやタイ国の餅麹は このタイプの麹である。このタイプの餅麹は粉砕した 生の糯米を適度に加水し,団子状にまとめたものに, カビ,酵母,乳酸菌などが生育したものである。餅麹 となる米の団子は加熱しない。地域により,餅麹の直 径は 3 cm から 20 cm,丸いものや楕円状のものまで 形状や大きさにはバラエティがある。地域によっては, 薬草などを練り込んで餅麹をつくるところもある。薬 草のはたらきは,風味づけ,防腐,微生物の栄養源な どと考えることができるだろう。 中国の蒸留酒である白酒(パイチュウ,Bai-jiu)の 製造には,大曲と呼ばれる長方体のレンガやブロック サイズの餅麹が使用される。大曲は,粉砕した生の小 麦や大麦を水でまとめ,種々の微生物を生育させたも のである。中国では,麹をあらわすことばとして酒薬 ということばもある。 以前調査した中国の海南島は,ベトナムのハノイ (Ha Noi)とほぼ同じ緯度で,ベトナムやタイ国に在 住している少数民族の人びとの村もある。海南島では, ベトナムやタイ国で使用されている餅麹と同様のスタ
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TERAMOTO, Y. (2013). Comparative Study on Traditional Vietnamese Alcoholic Beverages. JOURNAL OF THE BREWING SOCIETY OF JAPAN, 108(8), 583–590. https://doi.org/10.6013/jbrewsocjapan.108.583
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