Abstract
健診受診者に、1)腰痛予防に関する小冊子を配布した場合と、2)腰痛予防のための運動教室を開催した場合の費用対効果をシミュレーションにより評価した。全国5ヶ所の総合健診施設で行ったアンケート調査における腰痛の有病率を、国民生活基礎調査の健診等受診率と国勢調査の総人口から計算した健診受診者数に掛け合わせ、腰痛の有病者数を計算し、1317万人とした。また、小冊子配布と運動教室の腰痛予防効果を評価した比較対照試験をレビューし、各介入の腰痛有病者の減少率を4%と25%と仮定し、この数値を各介入の対象者数に掛け合わせ、介入により期待される腰痛の有病者数の減少を、上述のアンケート調査における骨格筋の訴えがなかった者と腰痛の訴えがあった者のEQ5D(日本語版EuroQol)スコアの平均値に掛け合わせ、介入により期待される腰痛の損失QALY(質調整生存年)を77.6万年と計算した。これらから、小冊子配布群の配分比率を100%とした場合、腰痛有病者は52.7万人減少すると期待され、増分費用対効果比は26万円/QALYであった。また、運動教室群の配分比率を100%とした場合、腰痛有病者は329.2万人減少すると期待され、増分費用対効果比は166〜414万円/QALYであった。これらの結果から、健診受診者を対象とした腰痛の予防的介入は、腰痛に関する小冊子を配布することが費用対効果にすぐれていると考えた。
Cite
CITATION STYLE
Cost - effectiveness of Preventive Interventions against Back Pain in Japanese Health Examinees. (2009). Health Evaluation and Promotion, 36(6), 445–451. https://doi.org/10.7143/jhep.36.451
Register to see more suggestions
Mendeley helps you to discover research relevant for your work.