Abstract
半導体電気化学の研究者であれば,実際に測定したことがな くても聞き覚えのある方も多いと思う。Mott-Schottky プロッ トとは,ひと言で言えば半導体電極の電位と電極界面におけ る微分容量の関係を示したもので,インピーダンス解析装置 を用いて測定・解析することによって,半導体電極のキャリ ア密度やフラットバンド電位などの基本的な物性を調べるこ とができる。測定装置や基本的な測定原理は,交流インピー ダンス解析と同じなので,他の解説記事を参照されたい。 Mott-Schottky プロットの解析法の基本については,半導体電 気化学,光電気化学の教科書を紐解けば記述がある。しかし その一方で,界面の微分容量の電位依存性は界面欠陥や微細 構造等にも大きな影響を受け,実際に測定してみると教科書 通りのプロットにはならないことも多い。近年は,こうした 性質を改めて検証,あるいは解析法を見直そうという動向が 見られる。ここでは,半導体電極界面の構造および Mott-Schottky プロットの基礎について簡単に解説を行い,実例を 交えながらいろいろなケースの Mott-Schottky プロットを紹介 し,最近報告されている解析法や解釈について概説する。 2 .半導体電極界面における電位分布 Mott-Schottky プロットを理解するためには,まず半導体電 極に電位を印加した際の電極 / 電解液界面における様子を理 解しておかなくてはならない。多くの電気化学の教科書にあ るように,金属電極に電位を印加すると,電解液側にはヘル ムホルツ層と呼ばれる電気二重層が現れる。つまり,基本的 に印加した電位は電解液側にかかる。一方,半導体電極の場 合,印加した電位は逆に半導体の表面付近に形成される空間 電荷層にかかり, (一般的には) 電解液側にはほとんどかから ない。図 1 に n 型半導体電極に電位を印加した際のバンド構 造変化の様子を示す (本稿ではとくに断りの無い限り,すべ て n 型半導体電極として議論を展開する。p 型では主役が電 子の代わりにホールになり,Mott-Schottky のプロットの傾き が逆になるが,基本的な考え方は同じである。 ) 。電解液と半 導体電極が接すると,電解液側のレドックス準位と半導体電 極のフェルミレベルが一致するように電荷移動が起きる。こ 半導体電極界面測定における Mott-Schottky プロットの解釈と活用 今 西 哲 士 a a φ redox 半導体電極 溶液 φ redox 半導体電極 溶液 図 1 n 型半導体電極のバンド構造変化の様子 (a) 電極を溶液に入れる前, (b) 電極と溶液が接触した状態 (開回路状態) , (c) 電極に負の電位をかけた状態, (d) さらに負の電位をかけた状態[The Electrochemical Society of Japan から許可を得て転載]
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IMANISHI, A. (2021). Interpretation and Use of Mott-Schottky Plots at the Semiconductor-liquid Interfaces. Journal of The Surface Finishing Society of Japan, 72(9), 479–486. https://doi.org/10.4139/sfj.72.479
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