Abstract
近年,化学データを数学的・統計的手法により解析する「ケモメトリクス」が頻繁に用いられるよ うになってきた.しかし,日本の大学の化学教育の場ではほとんど取り上げられていない.ケモメトリ クスや数値計算の専用ソフトウェアを使うことなく,現在最も普及しているソフトウェアのひとつであ るMicrosoft Excel(Excel)の基本機能を用いてケモメトリクス計算を行うことができれば,多くの教育・研 究機関で役立つものと思われる.シリーズ5回目は,スペクトルなどの観測データの前処理として用いら れる平滑化と数値微分を取り扱う.平滑化や数値微分の代表的手法として最小二乗法を基にしたSavitzky Golay法(SG法)が広く知られている.我々はSG法と同原理の平滑化・数値微分法をExcel上で実行する方 法を開発したので報告する.まず,SG法の畳み込み係数に相当する係数を求めるワークシートを作成し た.さらにGauss関数を例に平滑化・数値微分を実行するワークシートを作成した.平滑化および数値微 分値が,Gauss関数及びその導関数とよく一致していることを確認した.本法の平滑化・数値微分係数と, SG法の畳み込み係数を比較し,両者が等しいことを示した.また,畳み込み係数表の誤りも見出すこと ができた.これらの結果によって,本方法が平滑化・数値微分法として有用であると示された.
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YOSHIMURA, N., & TAKAYANAGI, M. (2012). Chemometrics Calculations with Microsoft Excel (5). Journal of Computer Chemistry, Japan, 11(3), 149–158. https://doi.org/10.2477/jccj.2012-0007
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