Abstract
筆者はテキスト型(文章型)データの分析方法「計量テキスト分析」を提案 し,その方法を実現するためのフリーソフトウェア「KH Coder」を開発・公 開してきた.現在では KH Coder を利用した応用研究が徐々に蓄積されつつあ るように見受けられる.したがって現在は,ただ応用研究を増やすのではなく, KH Coder がいっそう上手く利用され,優れた応用研究が生み出されることを 企図しての努力が重要な段階にあると考えられる.そこで本稿では,現在の応 用研究を概観的に整理することを通じて,どのように KH Coder を利用すれば データから社会学的意義のある発見を導きやすいのかを探索する. この目的のために本稿では第 1 に,計量テキスト分析および KH Coder 提案 のねらいについて簡潔に振り返る.第 2 に,KH Coder を利用した応用研究に ついて概観的な整理を試みる.ここではなるべく優れた応用研究を取り上げて, 方法やソフトウェアをどのように利用しているかを記述する.また,なるべく 多様なデータを分析対象とした研究を取り上げることで,応用研究を概観する ことを目指す.第 3 に以上のような整理をもとに,計量テキスト分析や KH Coder を上手く利用するための方策や,今後の展開について検討する. キーワード:計量テキスト分析,KH Coder,応用研究 1 は じ め に 筆者はテキスト型(文章型)データの分析方法「計量テキスト分析」を提案し, その方法を実現するためのフリーソフトウェア「KH Coder」を開発・公開してき た(ඉ口 2014) .KH Coder を最初に公開したのは 2001 年で,これを利用した応 用研究は学会発表と論文・書籍をあわせて現在 1,500 件に達している.よって現在 は,ただ件数を増やすのではなく,KH Coder がいっそう上手く利用され,優れた 応用研究が生み出されることを企図しての努力が重要な段階にあると考えられる. そこで本稿では,現在の応用研究を概観的に整理することを通じて,どのように KH Coder を利用すれば学術的意義のある発見につながりやすいのかを検討する. * 立命館大学産業社会学部准教授 ko-ichi@ss. ritsumei. ac. jp 68(3) 334
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HIGUCHI, K. (2017). New Quantitative Text Analytical Method and KH Coder Software. Japanese Sociological Review, 68(3), 334–350. https://doi.org/10.4057/jsr.68.334
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