Abstract
ポリフェノールは非栄養素と分類されているが, 医薬品や健康食品の研究対象として注目されて続け ている.しかし,その吸収は決して良くない.茶の葉 に含まれるカテキンやソバのイソフラボンなどの吸 収率は約5 ~30%で,落花生やブルーベリーなどに含 まれるプロアントシアニジンなどは約0.1%と報告さ れている.なぜか? 実は,植物中でポリフェノー ルは糖と結合した状態(配糖体)で存在しており,二 重リン脂質の細胞膜を移動しにくい.そこで,消化 管上皮に存在する分解酵素によって分解して,糖が 結合していない「素の形」(アグリコンと言う)にさ せることで,移動しやすくさせている.ところが, 「素の形」であるアグリコンのポリフェノールは生体 毒性を有することが多く,吸収した細胞にとってた いへん危険である.そこで,細胞内において,さまざ まな官能基などを結合させて,「抱合体」という構造 体に変化させてしまう.抱合体として無毒化させて から,改めて細胞外への排出を高めていると考えら れる.となると,基本的にポリフェノールはわれわ れの健康に良いとは言えないことになってしまう. でも,自然科学の世界では本当に不思議なことが起 きる.緑茶に含まれるエピガロカテキンガレートと いうポリフェノールは,われわれの体に元々備わっ ている機能を亢進させて,がん細胞の増殖を抑制し てくれるようである.また,腸管で吸収されなかっ た一部のポリフェノールは,大腸に生息している共 生微生物によって健康に良いとされる物質に変換さ れる場合も報告されている. 消化管という微小環境で吸収されているポリフェ ノールの機能を解明する研究は,人間がさまざまな 植物を食することで生き抜いた生存戦略をひも解く ことであり,豊かな健康社会に貢献することが期待 される.
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KOZAKAI, T. (2017). 腸管上皮における栄養機能的化学物質(ポリフェノール)の輸送と認識. KAGAKU TO SEIBUTSU, 55(6), 426–433. https://doi.org/10.1271/kagakutoseibutsu.55.426
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