Abstract
1 .はじめに 極限まで不純物を除去し高度に精製された水,すなわち超 純水が用いられる分野としては,半導体や液晶などの電子デ バイス製造,原子力発電,医薬精製,バイオテクノロジー, 化学分析などが挙げられる。特に半導体製造分野においては, 回路の集積化に伴うパターン寸法の微細化が急速に進展し, 最高グレードの超純水が求められている。また,半導体製造 に用いられる薬品使用量の低減や,電子材料の多様化に対応 するため,超純水をベースに洗浄力を高めた水である機能水 の用途も拡大している。本稿では半導体製造に用いられる超 純水および機能水について,その定義や性質を概観した後, 近年のトレンドを紹介する。 2 .超 純 水 2.1 超純水とは 水中に含まれる不純物の内,イオン交換や蒸留によりイオ ン類を除去した水を一般に純水またはイオン交換水と呼び, 残存する微粒子,有機物,溶存ガス等を様々な水処理手段を 組み合わせてさらに除去した高度精製水を超純水と呼ぶ。純 水・超純水の水質指標として最も一般的に用いられるのは, 電解質の総量の指標となる比抵抗であり,概ね 1 MΩ・cm (25 ℃) 以上の水のことを純水,10 MΩ・cm(25 ℃) 以上の水 を超純水と呼ぶことが多い。理論純水 (純粋な水) の比抵抗は 18.24 MΩ・cm(25 ℃) である。 工業用水や水道水の水源となる湖沼水や河川水,井水など の天然水には様々な不純物が含まれている。それらを大別す ると以下の 3 つに分類できる。 ○固体微粒子,コロイド状物質,高分子電解質 金属酸化物,金属水酸化物,コロイド状シリカ,有機物, 微生物など ○低分子電解質 ナトリウム・カルシウムなどの陽イオン,塩化物・炭酸 などの陰イオン ○低分子非電解質 溶存酸素,溶存窒素など 半導体製造に用いられる超純水製造装置は一般に,濁度成 分を除去する前処理システム,イオン類・有機物・溶存ガス 等を除去する一次純水製造システム,一次純水をさらに高純 度化する二次純水製造システム (サブシステム) の構成が用い られる。サブシステムは有機物を分解除去する紫外線酸化装 置 (UVox) ,イオン成分を除去する非再生型イオン交換樹脂 装置 (MB) ,溶存ガスを除去する膜脱気装置 (MD) および微 粒子を除去する限外ろ過膜装置 (UF) から構成され (図 1) ,一 次純水中に残留する不純物をほぼ完全に除去すると共に,高 純度化された水質を維持するため循環処理が行われている。 純水・超純水中の不純物濃度は極めて微量であるため,最 新の分析化学技術を駆使しても全てを同定・定量することは 困難である。したがって超純水の水質指標としては,個別に 定量可能な低分子電解質や一部の金属類以外は,比抵抗,微 粒子数,全有機体炭素濃度 (Total Organic Carbon:TOC) といっ た包括的な指標が用いられる。 先端半導体デバイスの製造に用いられる超純水は,デバイ ス構造の微細化および高集積化に伴い,年々求められる水質 が高くなっている。国際半導体技術ロードマップ (Interna-tional Technology Roadmap for Semiconductors:ITRS) (2015 年より IEEE International Roadmap for Devices and Systems: IRDS へ組織変更) が発行した超純水への要求水質 (表 1) , には,管理すべき不純物とその濃度が示されている。超純水 の高水質化を図る際には,これらの項目の不純物濃度レベル を極限まで低減することと,その水質に揺らぎ (変動) がない ことが要求される。 2.2 超純水の最新動向 超純水には,強酸化性物質である過酸化水素が 5 ~ 40 μg/ L 程度含まれていることが知られており,近年,超純水中に 含まれる過酸化水素の影響およびその除去方法に注目が集 まっている。 前述の通り,超純水を製造するサブシステム内では,波長 半導体製造に用いられる超純水と機能水の最新動向 矢 野 大 作 a a
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YANO, D. (2018). Latest Trends of Ultrapure Water and Functionalized Water for Semiconductor Manufacturing. Journal of The Surface Finishing Society of Japan, 69(10), 425–429. https://doi.org/10.4139/sfj.69.425
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