Theoretical considerations and neural mechanisms of empathy

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2018 年 6 月 30 日 (133)1 Ⅰ.共感の定義と分類 共感は,社会的なコミュニケーション場面におい て重要な精神機能であるが,これまでそれほど多く の研究がなされてきたわけではなく,心理的メカニ ズム,それを支える神経メカニズム,共に未解明な 部分が多い(梅田ら 2014) 。共感とは,他者の感情 状態を共有する精神機能であるが,この機能を一側 面で捉えることは難しく,いくつかの要素に分類し て捉える必要がある。これまでの多くの研究では, 共感を 2 つの機能的要素,すなわち,1)他者の心 の状態を推論し,理解する,いわばクールな機能的 要素と,2)その状態を感情的に共有する,あるい は身体反応を伴って同期する,いわばホットな機能 的要素に分けており,前者は認知的共感(cognitive empathy) ,後者は情動的共感(emotional empathy) と呼ばれている(Davis 1983,Decety ら 2006) 。 認知的共感は,比較的意図的なプロセスを含んで おり,オンオフの切り替えがある程度可能である。 通常,他者が罰を受けているようなシーンを見たり すると,その人の心的状態を理解したり予測したり して,共感が生じる。しかし,その人が,倫理的に 不適切な行為をしたような場合には,罪を受けるの は当然であると考え,いわば,共感のスイッチを意 図的にオフにすることができる。そのような意味で は,認知的共感は,基本的にトップダウン型の処理 であると考えられる。これに対し,情動的共感の方 は,その名の通り,情動面での共感であり,比較的 自動的なプロセスを含んでいる。情動的共感は,認 知的共感のようなオンオフの切り替えは一般に困難 であり,基本的にはボトムアップ型の処理であると 考えられる。 しかしながら,この捉え方はやや大雑把であり, 要素的な交絡が認められる。そこで筆者は,共感を 3 つの要素,すなわち,1)行動的共感,2)身体的 共感,3)主観的共感に区別する理論的枠組みを提 案した(表 1) (梅田ら 2014) 。1)の行動的共感は, 他者の行動を観察すると,それに伴い,自分に類似 した行動が起こるという意味での共感を意味する。 これは「他者の行動を見たり聞いたりする(知覚す る)ことによって,観察者である主体者が類似した 行動をとる」という現象を対象としている。他者が あくびをしているのを見て,それが伝染してしまう というような現象は,行動的共感の例である。行動 的共感を生み出す「知覚と反応の結合性」は, シミュ レーション,すなわち,他者の状態を真似るという 行動によって説明されることが多く, 「ミラーニュー ロ ン 仮 説 」 と も 一 致 す る 部 分 が 多 い(Rizzolatti ら 1996) 。2)の身体的共感は,他者の行動に触れ ることによって,身体反応がボトムアップに誘発さ れる場合を意味する。他者が涙を流しているのを観 察し,自分も涙を流してしまうような状態である。 ■教育講演 1 共感の理論と脳内メカニズム 梅 田 聡 * 要旨:共感に関する研究は,近年,さまざまな観点から進められており,理論的に確立され,神経メカニ ズムも徐々に明らかにされつつある。本稿では,共感を 1)行動的共感,2)身体的共感,3)主観的共感に 分ける理論的枠組みを提案し,それぞれの定義および特徴について述べる。次に,sympathy と empathy の違いについて触れた上で,共感の背後にある「心の理論」および共感との関係性について再検討する。 さらに,共感を生じさせる上で重要な身体性について述べた上で,各種の共感を支える神経メカニズムに ついて,ネットワーク的視点および局在論的視点からまとめる。最後に,自閉症スペクトラム障害などの 発達障害や神経心理学の視点から,共感の病理について考える。 (高次脳機能研究 38 (2) :133 ~ 138, 2018) Key Words:共感,心の理論,情動,セイリエンスネットワーク,自閉症スペクトラム障害 empathy,theory of mind,emotion,salience network,autism spectrum disorder * 慶應義塾大学文学部心理学研究室 〒 108-8345 東京都港区三田 2-15-45 受稿日 2018 年 4 月 22 日

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Umeda, S. (2018). Theoretical considerations and neural mechanisms of empathy. Higher Brain Function Research, 38(2), 133–138. https://doi.org/10.2496/hbfr.38.133

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