Abstract
とう 1.はじめに 都市における象徴的な建築群やオープンスペースは,都市の歴 史を内包した空間として捉えることができる。そこには空間がつ くられるにあたっての役割,また残されるに至る役割があるとも いえる。ところが近年の東南アジアのように,都市の拡大・開発 に伴う急激な変化に直面している都市においては,そのような都 市の歴史を内包した空間については優先されていない 1) 。本研究 では東南アジア諸国の中において特に経済成長が目覚ましいイン ドネシア 2) に着目し,ジャワ島に存在するオープンスペースalun-alunを対象とする。alun-alunを中心とした都市の構成はジャワ 都市の原型として認められており 3) ,都市の歴史的側面として捉 えることができよう。 alun-alun は,1)ジャワ島全土への分布,2)四角形の形状,3) 主要施設との関係性,4)王朝との関わり,という 4 点に特徴を有 している。alun-alun は一部の例外を除きジャワ島の一都市に一 つ存在する広場である 4) 。alun とはインドネシア語で square を 意味しており,敷地は四角い形状をしている。ジャワ島における 都市の歴史的な形態は,宮殿・モスク・市場・alun-alun という 4 つの要素 ("catur tunggal"=four in one)とされており,政治・ 信仰・儀式の空間としてこれらの要素は都市の中心に設置された 3)5)6) 。その立地ゆえ市場などの日常的な利用から式典や宗教的な 催事での非日常的な利用と幅広く活用されている。一方でこのよ うにジャワ島の人々の生活に密接に結びついた存在であるにも関 わらず alun-alun においては判然としない点が多い。また alun-alun の定義が未だ十分とはいえず,それゆえ不明瞭な点が指摘 できる。さらにインドネシアにおける都市計画や空間計画 7) の法 律においては alun-alun の位置づけがなされていない。 alun-alun におけるこれまでの研究として,かつての王朝との 関わり,植民地時代における関わり,近年の alun-alun について の研究が行われている。かつての王朝との関わりとして,alun-alun はマジャパヒト王朝以来の 13~18 世紀には宮殿の複合体の 一部として存在しており新マタラム王朝の際に一般の人々にも使 用されるようになったこと 8) ,王家に関連した神聖なシンボルと して alun-alun において2本の Ficus benjamina 9) が中央に植栽 されており空間構成や人々の利用に大きな影響を与えること 5) が 明らかにされている。また,植民地時代における関わりとして, 統治国オランダがインドネシアに合理的な都市計画を織り込んで いたこと 10) ,その際に alun-alun を中心とした特徴的な配置は地 元住民と植民地行政機構との結びつきを図るために用いられてい たこと 11) ,ヨーロッパの広場の概念が導入され人々のための空間 としての認識が広がったこと 8) が明らかにされている。一方で, 近年の急激な都市開発の中で,行政主導により積極的に alun-alun の空間構成のつくりかえをすすめていること 12) や,若者は このような空間構成の変化を肯定的に捉えていること 13) が明らか にされている。また,空間構成のつくりかえにより噴水等を配し た alun-alun が美しい空間と評価され人々に受け入れられている など 14) ,近年は利用面での環境が重要な側面として捉えられてい ると考えられる。 以上の社会背景及び学術背景から,本研究では「都市の歴史を 内包するオープンスペースとして,既往研究で「歴史性」や「王 朝」と関係づけられている alun-alun のイメージに対して,実際 の利用空間に規定される日常的イメージが異なる」という仮説を 検証しながら,人々の認識に基づいた心象風景としての alun-alun の空間的特徴を明らかにすることを目的とした。具体的に は,風景イメージスケッチ手法(LIST) を中心に,人々が認識し ている alun-alun の姿について明らかにし,alun-alun の観念的 イメージがどのような空間構成と結びついているのかについて知 見を得た。現在利用している人々の価値観というフィルターを通 すことで,一つのオープンスペースとしての意義や存在性に関し て考察をした。このような人々の空間への意識を明らかにするこ とは,インドネシアにおける今後の都市計画や空間計画のさらな る質の向上に寄与するはずである。 インドネシアの広場 alun-alun における空間的特徴からみたイメージについて Abstract: This study focuses on alun-alun, which is a traditional open space located in the center of the cities in Java island, Indonesia. In this study, the alun-alun image that people recognize was investigated through a Landscape Image Sketching Technique (LIST) complemented by keywords sampling and text analysis. By this method, it identified the relationship between the space configuration and alun-alun image. The subject of the study were 202 students of Gadja Mada University of Yogyakarta city. This study revealed the following facts, that students were able to categorize five types of space configuration by their image sketch; 1) Two types of Ficus Benjamina tree, 2) Empty space, 3) Facilities, 4) One type of Ficus Benjamina tree, and 5) Others. In all type, people associated the space with play area, the bazaar, and as a gathering spot. And in 1) it explained that alun-alun has relationship with image of kingdom as one of sightseeing place. However, people also have some negative emotion like hot, dry, and dust. And in 3) it identified that people thought the space is beautiful and comfortable place. As a result, there is a close relationship between space configuration and people recognition with its characteristics.
Cite
CITATION STYLE
KOHORI, T., & FURUYA, K. (2017). The characteristics of Indonesian open space image based on the space configuration. Journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture, 80(5), 579–584. https://doi.org/10.5632/jila.80.579
Register to see more suggestions
Mendeley helps you to discover research relevant for your work.