Small-Angle Scattering Measurements for Near-Surface Nanostructures

  • OKUDA H
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表面技術 — 98 — 648 1 .はじめに 析出物やナノ粒子などの 3 次元構造が基板の表面に存在す るとき,その観察には走査電子顕微鏡 (SEM) や走査プロー ブ顕微鏡 (SPM) などが用いられる。これらの顕微鏡法は表面 の組織の画像を直接与え,直感的にも分かりやすい。一方, X 線を利用してマクロな領域からの散乱・回折強度を測定す る方法は逆格子空間での散乱強度分布として情報が得られる ため,解析にはモデルなどが必要となるが,非破壊で試料内 部の構造も評価できる点がメリットである。ここでは表面お よび表面近傍のナノ構造をすれすれ入射条件の小角散乱法 (Grazing Incidence Small-Angle X-ray Scattering,GISAXS 法) によって調べる場合の考え方について紹介する。 すれすれ入射条件とは,試料表面に対して X 線の物質に 対する全反射臨界角程度の角度で入射することを指す。一般 に X 線を滑らかな平面試料に対して全反射臨界角程度で入 射すると X 線の電場強度は試料表面近傍で増強され,内部 への透過強度は入射角に敏感に変化する。この現象は表面敏 感な蛍光分析などにも利用されているが,GISAXS 法の場合 には全反射条件よりやや大きな角度で入射することで X 線 の侵入深さを制御する。小角散乱法になじみのない読者が大 多数であると思われるので,ここでは一般的な透過小角散乱 法について簡単な説明をした後,GISAXS 法の基本的な考え 方について基板表面直下に粒子が存在する場合と,バルク基 板中にナノ粒子が分布している場合の例を用いて説明する。 2 .透過小角散乱測定 まず小角散乱測定ではどのような信号が得られ,何が分か るのかについて簡単に触れる [[ [[[ 。物質に X 線を照射する と X 線と物質との相互作用により,X 線が散乱され,各原 子の電子で散乱された X 線の干渉によって X 線強度分布に パターンが現れる。原子間距離程度の距離の干渉効果は X 線粉末回折などで知られている回折線を与えるのに対し,ナ ノ粒子のようにより大きなスケールで凝集した粒子などの分 布状態はより小さな角度領域に散漫な強度分布を与える。こ の散漫散乱が小角散乱である。直感的に言えば,実空間での 散乱体の特徴的な長さ d(粒子の直径,あるいは粒子間距離 など) と,散乱強度が現れる特徴的な角度領域θの間には,散 乱ベクトル q=4π sin (θ) / λに対して d=2π/q のような逆数の 関係があるため,原子間距離より大きな「ナノ粒子」の散乱 はより低角に現れる。 この点を球状の粒子を例にして見てゆく。 ナノ粒子を含んだ板状の試料を X 線が透過する際,X 線 は粒子から散乱を受ける。この場合の X 線散乱の考え方は 基本的には原子による散乱振幅を微小結晶の内部で足し合わ せる粉末回折強度の計算と同じであり,散乱強度は , I (q iq r r f f) =∑∑ i j j i exp{ (i − j) } ………………………(1) で与えられる。ここで f i は元素 i の原子散乱因子である。小 角散乱が粉末回折の回折ピークの計算と異なる点は,ナノ粒 子などが存在することにより,試料の位置によって電子濃度 が一様でないことを計算に明示的に取り入れる必要があるた め,各位置での原子散乱因子を,試料全体の平均値と平均値 からのずれの和に分解する。連続体として取り扱う場合は各 原子の原子散乱因子 f を電子密度ρの分布に置き換えられる ため,電子濃度を平均電子濃度ρ と平均値からのずれ⊿ρに 分けて和を積分に変えると, (1) 式は I (q r iq dr dr r r r) = { 0 + (i)}{ 0 + (j) }exp((i − j)) i j = 0 2 exp iq iq dr dr r r (i r r i − j r r i − j)} i j dr dr i j + () ()exp { { ()} ρ ρ ρ ρ ∬ ∬ ∬ Δ ρ Δ ρ Δ ρ Δ (2) と書ける。式 2 の右辺第一項は試料全体が仮想的に一様な平 均電子密度となった場合の散乱であり,原点 (0° ) に非常に鋭 い極大を与えるとともに,式を原子ごとの和の形であらわし た場合には逆格子点に回折スポットを与える。第二項は,小 角散乱の角度領域で値を持つ。この右辺 2 項が小角散乱強度 を与えるが,小角散乱が現れる角度領域では右辺第一項は減 衰しているため,その寄与は無視できる。そこで,小角散乱 強度の解析には試料中の平均電子濃度からのずれ,Δ ρ (r) の みを考慮すればよい。これは,例えば濃度の均一なナノ粒子 が試料中に分布しているような場合には濃度の異なる部分の 表面近傍の構造に対する小角散乱測定 奥 田 浩 司 a a 京都大学 大学院工学研究科 材料工学専攻 (〒 606︲8501 京都府京都市左京区吉田本町)

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OKUDA, H. (2015). Small-Angle Scattering Measurements for Near-Surface Nanostructures. Journal of the Surface Finishing Society of Japan, 66(12), 648–652. https://doi.org/10.4139/sfj.66.648

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