Abstract
生物が自然界で生産する毒の研究は,化学生態学にお ける重要な研究領域の一つである.自然生態系において 「食う-食われる」の厳しい生存競争にさらされてきた 生物は,外敵から身を守るために,あるいは餌を効率よ く捕獲するために,進化の過程でさまざまな毒を利用す るに至った.その毒の起源を調べると,生物自身がその 毒を生合成する場合がある一方,生物自身では毒を生産 する機能はなく捕食した獲物から毒を蓄積する場合もあ る.サソリは前者,フグやヤドクガエルは後者の例であ る.この研究領域では,毒の化学構造を決定する有機化 学や毒とタンパク質の相互作用からその作用機序を探る 生理学,すなわち室内での分子レベルでの実験操作に始 まり,国内はもちろん海外にまで足を運び,個体同士の 相互作用を丹念に調べる生態学的フィールドワークま で,ミクロからマクロの視点を必要とする.まさに学際 領域である. 本稿では,生物毒についての最近の話題や将来の展望 を紹介する.化学生態学における毒の研究の魅力を若い 読者に感じていただきたい.
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YAMASHITA, M., KONOKI, K., INAGAKI, H., MORI, N., & MORI, A. (2020). 生物が作り出す毒. KAGAKU TO SEIBUTSU, 58(2), 111–119. https://doi.org/10.1271/kagakutoseibutsu.58.111
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