Abstract
キーワード 育種,イネ(Oryza sativa) ,光応答,光受容,フィトクロム,変異株 1.はじめに フィトクロムは植物に特有の赤・遠赤色光受容体であ り,周囲の光環境を認識して光形態形成,避陰応答,花 芽形成など植物の生存と存続のための数多くの応答の制 御に関わっており,移動性を持たない植物の外環境認識 のための重要なツールの一つであることが認識されてい る(Taiz et al. 2017) .まず初めに,イネにこだわらず, フィトクロム研究史を振り返り(長谷 2001) ,特にター ニングポイントとなった研究を紹介したい. フィトクロムの存在が示唆されたのは,光発芽性のレ タスを用いた Borthwick et al.(1952)の研究による.レ タスは,赤色光照射で発芽が誘導され,遠赤色光照射で 抑制されるが(Flint and McAlister 1935) ,Borthwick et al. (1952)は,その誘導や抑制が数分間の赤色光や遠赤色光 照射で十分であることを突き止め,赤色光と遠赤色光を 交互に照射する実験を行った.その結果,赤色光が最後 に照射された時に発芽が誘導され,遠赤色光が最後に照 射された時に発芽が抑制されることを明らかにし,赤色 光-遠赤色光可逆反応が存在することを示した (Borthwick et al. 1952) .この研究に影響を受けた Butler et al.(1959) は,トウモロコシの暗所芽生えに赤色光や遠赤色光を照 射した後の吸収スペクトルを測定し,その差スペクトル からフィトクロムが分光学的に検出できる色素物質とし 編集委員:芦苅基行 2017 年 8 月 21 日受領 2018 年 2 月 19 日受理 2018 年 4 月 6 日 J-STAGE 早期公開 Correspondence: ninagaki@affrc.go.jp て実在していることを証明した.フィトクロムが高度に 精製できるようになると,125 kDa 程度の水溶性タンパ ク質で, フィトクロモビリンと呼ばれる開環テトラピロー ル(図 1)を共有結合させていることが明らかになった フィトクロモビリン生合成経路の概略と構造. フィトクロモビリンは,ヘムから 2 段階の酵素反応で合成 される.プロトポルフィリン IX より上流の生合成経路は クロロフィルと共用している.フィトクロモビリンは開環 テトラピロールで,チオエーテル結合によってフィトクロ ムタンパク質と共有結合している. 図 1.
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Inagaki, N. (2018). Phytochrome-mediated light signal perception and responses elucidated by researches using rice phytochrome mutants and application potentiality of the knowledge to breeding rice plants. Breeding Research, 20(1), 1–10. https://doi.org/10.1270/jsbbr.17j12
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